「膝を痛めたどうしよう・・・」
「膝が痛くて上手くスポーツが楽しめない・・・」
このように自分のお子様が考えている経験はありますでしょうか?
スポーツは楽しく行うのが大切ですがここで障害となるのが「怪我」です。
ケガは百害あって一利なしですが、捉え方によっては次のステップへ進む重要な機会にもなり得ます。
数多のスポーツ選手でも怪我をきっかけに自身を見直し、復帰後により大きな実績を上げた選手は数知れないです。
本日はそんな機会になる一助になりたく、本日は「膝の怪我」について構造やケア・予防の考え方、オススメエクササイズなどを紹介いたします。
ぜひ本日の記事を最後までご覧いただき素敵なスポーツライフを過ごして下さい。
執筆者:祖父江誠
職業:運動指導者
保有資格:
全米ストレングス&コンディショニング協会認定 パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)
全米スポーツ医学協会認定 パフォーマンス向上スペシャリスト(NASM-PES)
カロリートレードジャパン認定パーソナルトレーナー(CTJ-CPT)
PHI ピラティス インストラクター (Mat Ⅰ&Ⅱ、Reformer、Tower、Chair、Barrel)
Pilates Synthesis Mat 修了
Pilates Synthesis Reformer&Tower 修了
Pilates Synthesis Chair修了
経歴:2025年8月、名古屋市瑞穂区に身体と心の土台を育てる
「「からだセンススポーツ教室」を出店。
さらに詳しい経歴はコチラ
膝の構造と注意点
膝関節は太もも、スネ、膝のお皿の3つの骨から構成される人体の中で最も体重がかかる関節です。
この関節内には衝撃を吸収する半月板や安定を保つために前と後ろにクロスした状態で靭帯が付着しています。
しかし、膝関節はけん玉のように骨と骨が連なっただけの構造になっており、非常に不安定な作りをしているのが特徴です。
ただ不安定であるからこそ屈伸運動では動作に大きく寄与しているので重要な構造になっております。
屈伸運動を担っているため前後の動きには比較的強いですが、横方向への動きに対しては靱帯や筋肉に大きく依存しており、伴って負荷も大きく掛かります。
特に代表的な膝の靱帯である前十字靱帯や内・外側側副靱帯は、膝の安定性を保つ重要な役割を果たしていますが、これらの靱帯は一度損傷すると完全な回復が困難な場合が多いです。
子供の場合、成長期特有の問題も存在します。骨の成長に筋肉の発達が追いつかないことで筋力のアンバランスが生じやすく、また関節や靱帯の柔軟性が高い反面、安定性が不十分になりがちです。
このような構造的特徴から、膝関節は日常生活やスポーツ活動において怪我をしやすい部位となっています。特に方向転換、ジャンプの着地、急激な停止動作などで大きな負荷がかかり、靱帯損傷や半月板損傷のリスクが高まります。膝の構造を理解し、適切な予防策を講じることが重要です。
膝の怪我をする原因
膝が怪我しやすい根本的な原因は、実は膝関節そのものにあるのではなく、「股関節もしくは足首の機能不全」にあります。
膝は前述の通り構造上不安定な関節のため、本来であれば股関節と足首が連携して膝への負担を軽減する必要があるのです。
正常に機能している股関節は、体重や運動時の衝撃を効率よく吸収し、膝への負荷を大幅に軽減します。
股関節の可動域が制限されると、膝が代償的に過度な動きを強いられ、怪我のリスクが高まります。
同様に、足首の機能も膝の健康に直結します、これは足首の動きが膝の活動に大きく影響する為です。
足首の動きが不適切ですと先述した膝の苦手な動きである、横へのスライド、回旋やねじれの動きを強いられます。
この不適切な動きパターンの繰り返しが、膝の慢性的な痛みや急性の怪我につながるのです。
したがって、膝の怪我を防ぐためには、膝だけでなく股関節と足首の機能を向上させることが不可欠です。
膝の怪我をケア方法
すでに膝を怪我している場合、適切なケア方法を実践することで、単なる回復にとどまらず、以前よりも優れた身体能力を獲得することが可能です。
重要なのは、怪我の回復を最優先にしながらも、先述した股関節と足首の機能向上に取り組むことです。
具体的なワードでお伝えすると股関節と足首のモビリティ(可動性)獲得に労力を集中することが鍵となります。
股関節のケアでは、特にハムストリングスや腰回りの筋肉の柔軟性向上とヒンジ(股関節屈曲)動作の獲得に重点を置きます。
足首に対しては、足関節の背屈・底屈制限をスムーズにするためのストレッチやコレクティブエクササイズと、足部の安定性を高めるバランストレーニングが効果的です。
以前ブログでも紹介した「バランスパッド」や少しマイナーですが当教室でも使用している「アダプベース」が非常に効果的です。
このように膝の回復だけでなく、怪我をした際の身体の動作パターンから苦手な部分を抽出して出来る範囲で包括的なトレーニング・ストレッチングを行うことにより復帰後には以前よりも効率的で安全な動作パターンを獲得できます。
怪我で一番怖いのは「モチベーションの低下」だと考えているのですが、このように今まで目を向けられなかった部分に着目することによって「成長の実感」も得れるので競技へのモチベーションも保つことができます。
個人的には怪我をすると周りとの遅れや練習ができない焦りから競技へのモチベーションが著しく低下するので、上記のモチベーションの回復がなんだかんだと一番有用だと感じております。
膝の怪我を予防するエクササイズ
膝の怪我予防に最も効果的なエクササイズとして、「レッグサークル」をお勧めします。
このエクササイズは、股関節の求心位置を適切にすることによって股関節の可動性を高めます。
また関節的にハムストリングスのストレッチやコアスタビリティの獲得も可能な種目ですので、個人的にメチャクチャお勧めです。
実施方法は以下の通りです。まず仰向けに寝て、片足は床に伸ばし、もう片足は膝を伸ばした状態でまっすぐ上に持ち上げます。
持ち上げた足にタオルまたはゴムチューブを引っ掛け、適度なテンションをかけます。このテンションを維持したまま、床についている足と腹筋の力で骨盤をしっかりと固定し、持ち上げた足で均等になるように弧を描いて回していきます。
このエクササイズの重要なポイントは、骨盤の安定性です。骨盤が動いてしまうと股関節の可動域改善効果が減少し、腰部に負担がかかる可能性があります。
腰と床のスペースを潰すようなイメージでお腹に力を入れて、逆の足で骨盤が動かないように固定します。
踵が自身の身体から最大限離れるように空間を蹴り込み、股関節のみで綺麗な円を描くことを意識してください。
興味がある方は、ぜひ一度、当スタジオでの体験レッスンにお越しください。見学も歓迎です!